2021年3月13日、JR東日本では春のダイヤ改正を行いました。
その前日、日本各地でダイヤ改正前の
最後の定期列車の運転が行われました。
その中でも、私は
JR東日本新潟支社管内で運行していた
快速らくらくトレイン村上のラストランに
乗車してきた模様のレポートと運行終了の背景を考察していきます。
まず初めに、らくらくトレイン村上とはどんな列車だったのかを紹介していきます。
1.らくらくトレイン村上とは
概要
快速「らくらくトレイン村上」は2004年3月のダイヤ改正で登場
乗車整理券を追加購入すれば、必ず座れるという着席ニーズに対応した
「ホームライナー」の立ち位置の列車として登場しました。
関東地方だと
2021年3月まで運行していた「湘南ライナー」
2019年3月まで運行していた「中央ライナー」
と同じ立ち位置になります。
快速「らくらくトレイン村上」は首都圏のホームライナーとは違い、
毎日運転でした。
運行区間
運行区間は、
新潟~村上でした。
白新線を経由経由し、新潟県北部の通勤ニーズに対応していました。
停車駅は、
新潟・豊栄・新発田・中条・坂町・村上
です。
新潟~村上間を約1時間で結び、速達性も確保しています。
乗車整理券
快速「らくらくトレイン村上」は、乗車券の他に、乗車整理券(320円)を購入すれば
乗車できる列車でした。
発売駅は、
快速「らくらくトレイン村上」が停車する各駅のみどりの窓口、改札口、車内の購入が可能でした。
新潟駅では、らくらくトレイン専用の乗車整理券の券売機も設置されていました。
運行車両
使用車両は、
新潟~酒田・秋田を結ぶ特急「いなほ」に使われている
E653系1000番台で運行されていました。
特急車両での運行だったので、乗り得列車としても人気があります。
1号車にはグリーン車が連結されていましたが、すべて締切扱いで運転されていました。
2.実際に乗車してきたときのレポート
なぜ今回らくらくトレイン村上をラストラン乗車に選んだか
では、今回なぜ快速「らくらくトレイン村上」のラストラン乗車に選んだかというと
理由は主に2つあります。
- 完全に無くなってしまう運行だから→他のライナー列車は特急・全車指定の快速に格上げをして残る
- 3蜜を避けるため
→テレビでも報道されていた通り、首都圏を走る湘南ライナー・特急踊り子の185系のラストランに注目が集まり、駅にたくさんの人が押し寄せると予想したため
ラストラン当日の新潟駅の様子
平日の帰宅時間帯ということもあり、スーツを着たサラリーマンの姿が多い印象でした。
らくらくトレインの乗車整理券の券売機前には案内をするために駅係員の方が立っていました。
駅のホームへ上がるとそれなりに鉄道愛好家の方々が思い思いに
列車の撮影を行なっていました。
誰一人大声を上げることも混乱もなく、静かなラストランを迎えました。
とても平和だったので良かったなと感じております。
らくらくトレイン村上が到着した村上駅の様子
終点の村上駅に到着後は、折り返し「快速 新潟行」として運行するための折り返し準備
をしておりました。
駅の窓口では、
らくらくトレイン村上号の乗車整理券を記念に
持ち帰るためのスタンプを係員の方が押していたのが印象的です。
村上駅の駅の行先電光掲示板では、
らくらくトレイン村上と快速 新潟行の定期運行終了のお知らせと感謝の文字が…
村上駅の係員の方がiPadで記録している姿も見られ、
「ラストランなんだな」という実感が湧きました。
3.なぜらくらくトレイン村上は運行終了してしまったのか
何故、今回のダイヤ改正で「らくらくトレイン村上」は運行終了になってしまったのかを
個人的な観点で3つ程思い浮かびましたので書いていこうと思います。
新型コロナウイルス感染拡大の影響
これが一番の要因だと私は感じました。
2020年2月頃より日本各地で新型コロナウイルス感染が拡大し、
我々の生活は大きく変化することになりました。
今まででは考えられない、
自宅でのリモートワーク、公立学校などの臨時休校
オンライン授業
などが始まるところが多くなりました。
この一年で私たちの生活は一変し、
会社へ通勤すること、学校へ通学することの需要の減少しました。
その中で運行されていたらくらくトレイン村上も需要が少なくなり運行終了に至ったと考えられます。
帰宅ラッシュの時間帯の変化
新型コロナウイルス感染拡大での緊急事態宣言も発令され、
人々の移動が制限されたり、
飲食店の営業時間短縮、宴会の自粛などで
夜から深夜帯の鉄道利用が激減することになりました。
新潟を夜8時過ぎに出発するらくらくトレイン村上も
その影響を受け、利用者が減少し運行終了に至ったとも考えられます。
JR東日本から乗車整理券の概念がなくなるため
2021年春のダイヤ改正をもって、JR東日本から「ライナー列車」が消滅しました。
2021年ダイヤ改正前までは、
- 「湘南ライナー」
- 「おはようライナー新宿」
- 「ホームライナー小田原」
- 「らくらくトレイン村上」
- 「らくらくトレイン信越」
の5種類のライナー列車が運行されていました。
2021年春のダイヤ改正以降は
「湘南ライナー」
「おはようライナー新宿」
「ホームライナー小田原」
の各列車は
「特急 湘南」
として、特急列車に格上げされ、
全車指定席の特急列車として運行を開始しております。
一方、新潟地方に残っていた
「らくらくトレイン信越」は、
2021年春のダイヤ改正で
「快速 信越」と改名し、全車指定席で運行を開始しております。
このことから、JR東日本からの視点で考察すると
- 乗車整理券を無くし、利用者は指定券をえきねっとで購入してもらいたい
- 乗車整理券を無くすことで乗車整理券関係の規則が削除することができ、指定券・特急券の取扱を適用することが可能になる
- 全車指定席化することによって、3蜜を避けた席を選んで乗車してほしい
といった意図が見えます。
まとめ
時代の変化によってらくらくトレイン村上は運行終了。
らくらくトレイン村上は、
- 新型コロナウイルス感染拡大の影響での利用者の減少
- 通勤・通学時間帯の変化
- ホームライナーの廃止と特急格上げ
といった時代の変化によって運行が終了になりました。
時代の変化によって利用者のニーズが変わっていくことは確かです。
利用者の少ない列車の運行を終了するのは、必然とも言えます。
今を生きる人として、
今しか出会えない鉄道風景を記録し続けることが大切なんだと感じることが出来たダイヤ改正でした。
おわり